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430話

「でも私……泳げないし、ちょっと怖い……」

「怖がらなくていいよ、僕がいるから!」

「……」

男というものは、愛する女性に自分の幸せな時間を分かち合いたがるものだ。

残念なことに、彼は愛に頭がいっぱいになり、女性が泳げないということを忘れてしまっていた。

「酸素ボンベから漏れてる……私のことは構わないで……」

「絶対に助けるよ!」

「早く行って!」

「僕の酸素ボンベをあげるから!」

「だめよ!」

「……」

たとえダイビングの達人でも、酸素なしの状態で海藻に足を絡められた妻を救い出すのは、難しいことだった。

そのため、彼は命を落とした。

彼は遺言を残し、死後のすべてを新婚の妻に相続させた。

あの...