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170話

その瞬間、自由を手に入れたと思ったのに、それはただの束の間の幻に過ぎなかった。

自由なんて、自分にとってはまるで贅沢なものだった。

「……」

李二虎は歯を食いしばり、拳を固く握りしめた。

卢芳と何俊颜に平手打ちをくらわせてやりたい衝動に駆られたが、この社会では力ずくは通用しない。ルールに従わなければ、ひどい目に遭うだけだろう。

途方に暮れていた彼の前に、見知らぬ小さな男の子が駆け込んできて、数枚の紙を李二虎の手に渡した。

「お姉さんが渡してって言ってた!」

そう言い捨てると、男の子はすぐに走り去った。

李二虎は訳が分からず、男の子に尋ねようとしたが、すでに遠くへ行ってしまい追いかけることもでき...