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129話

しかし、この役員たちは、これほどの金額を何の苦労もなく着服していた。

このお金があれば、会社の設備をアップグレードすることも、従業員の福利厚生に充てることもできたはずなのに、今では役員たちの私財となってしまった。

彼は社会の底辺から這い上がってきた人間だ。だからこそ、一般従業員たちの気持ちに共感できる。

もし本当に能力不足で競争力を失ったのなら、何の不満も抱かないだろう。しかし、不正な手段で勝ち取ろうとする者がいるなら、決して黙って見過ごすわけにはいかない。

「不患寡而患不均」——貧しさを憂えるのではなく、分配の不平等を憂える。これこそ社会の根本的な論理だ。

彼は私腹を肥やしていた役員たちを一...