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756話

鬱蒼たる精霊の森では、無数の民が楽しげに戯れ、空からは鳥たちの軽やかな囀りが聞こえていた。

「お母さん、お母さん……」幼い声で呼ぶ娘のルースが、遠くの森から両手いっぱいの野の実を抱えて、嬉しそうに自分に向かって走ってくる。

精霊神樹の中の精霊たちは、女王が胡素晴の幻夢の彩雲に惑わされたのを見て、驚愕の声を上げた。

「あの精霊どもを始末しろ!」方天志が咆哮し、十数人の部下を率いて精霊神樹に襲いかかった。

「ドン!」という爆音と共に、精霊神樹が緑の光を放ち、光の門はたちまち閉じた。

「ルース」精霊女王は笑顔で両腕を広げ、愛しい娘を迎えようとした。

あれはルースではない!

精霊女王の神識が震え、ハッ...