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732話

ジュリアがアーチの前まで歩み寄り、向こう側のエルフの星を見つめていた。

何丈もの太さを誇るエルフの神樹が玄妙な光を一閃させ、空間の裂け目を開いた。ジュリアはその裂け目の向こう側に立ち、悲しげな眼差しで故郷を見つめていた。

古く荒廃していた城は、今や新たに修復されていた。

奇妙な色彩の雲が城全体を覆い尽くしている。

あれは、あの妖艶な女の術だ。あの彩雲は心を惑わす力を持っている。

ジュリアはわずかに眉をひそめた。城楼の上では、あの忌まわしい男が椅子に腰掛け、数人の美しい民が彼の肩を揉み、足を擦っていた。

城楼の下では、他の民たちが虚ろな目で、城楼上の男のために踊っていた。

なんて酷いことだろう!...