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1277話

話が終わると、黒水晶から映し出されていた映像が一瞬光を放ち、跡形もなく消え去った。

「ケケケ!魔族がついに魔域から脱出し、三界を支配する時が来たのだ」

酒井宏信の顔に、異様に妖しく貪欲な笑みが浮かんだ。

部屋の外では、琵琶を弾く倭国の歌姫が、半開きのドアから酒井宏信の前に浮かび上がる映像を目撃してしまった。桃のような美しい瞳を見開き、その場に凍りついてしまう。

清武社長の義父は、いったい何者なのか?

手首の黒い物体が、どうして清武社長の映像を映し出せるのだろう?

酒井宏信の神識が鋭く動き、すぐに誰かが外から覗いていることを察知した。振り向くと、その目から二筋の赤い血の光が射し出された...