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158話

人の目が悪くなることも、時には命を救うことがあるものだ。

老婦人は二階にいる商離歌に全く気づかなかった。ただ手を拭いたタオルを肩にかけ、頭を振りながらため息をついて、左側の部屋に入っていった。そして、ドアの鍵がかかる音が商離歌の耳に届き、彼女はナイフを引っ込めた。

猫よりも軽やかな足取りで、雪のように白い商離歌は白い壁に身を寄せながら、ダイニングルームへと入っていった。

不運な王軍から得た情報によると、北側の壁際にあるキャビネットが目的地だった。

この時、誰かが商離歌がキャビネットを撫でる様子を見ていたなら、きっと彼女がイタリア製の高級キッチン設備を羨んでいると思っただろう。しかし実際...