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1297話

宿泊客がやってくる旅館。

これは決して大きくない小さな旅館だった。冀南長距離バスターミナル東駅に隣接しているため、外来者の流れが絶えない繁華な場所に位置し、この通りには同じような小さな旅館が何軒も立ち並んでいた。

このような小さな旅館は、一泊の宿泊費がたった数十元ほどで、出入りする客層は実に様々だった。身分証明書の提示も必ずしも必要ではなかった。

だからこそ、ここの商売は常に繁盛していた。

……

川島芳子は宿泊客がやってくる旅館の二階にある一室の窓辺に立ち、外の道路の様子を観察していた。

二階の裏手には小さな河があり、その西側には極めて茂った緑地...