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114話

社長が部下を解雇するのは当然のことで、社長側も何も悪いとは思わない。しかし部下から自ら辞職を申し出られると、社長は自尊心、あるいは上から目線の立場が脅かされたように感じ、気分が大いに損なわれるのは確かだ。

柴紫煙もまさにそうだった。先ほどクロスステッチの件で周舒涵を少し皮肉ったことや、雲若兮が楚錚を残したことで何かを感じ取っていたとはいえ、周舒涵が辞職するとは思いもよらなかった。彼女は一瞬たじろぎ、それから淡々と尋ねた。「辞職?周副社長、私がどこかで君を粗末に扱ったとでも?」

「いいえ」周舒涵は落ち着いて首を振った。「柴社長が冀南に来られた初日に私を副社長に抜擢してくださったこと、とても感...