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58話

李さんだけが、だらしなく足を組んで椅子に座り、辺りを見回していた。

「おい、李さん、見ないのか?なんだか心ここにあらずって感じだな」ホワは隣で李さんに近づこうとした。

李さんは軽く笑うだけで、「お前が見ればいい。俺はあとで見るよ。ちょっと考え事があってな」

「ああ、そうか」

ホワは李さんに微笑み返すと、他の二人の新人とも話を始めた。

二人が熱心に話し込む中、李さんはポツンと一人で座り、まるで別世界の人のようだった。

しばらくすると、薛蘭が再び現れ、私たちを九龍城カジノの中を案内し始めた。

九龍城カジノは他のカジノと比べものにならず、わずか三階建てで、一階と二階がギャンブルフロア、ポーカーや麻雀...