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272話

エレベーターの中に入ると、警備隊長は五階のボタンを押した。

ここは黒龍のオフィスがある階だ。

「黒龍が上で僕を待ってるの?」老李は弱々しく尋ねた。

「黒龍だけじゃない、大勢の人がお前を待ってるんだ。随分と偉くなったな」警備隊長は歯を食いしばって言い放った。

老李は頭が混乱していた。

大勢の人が彼を待っている?

老李が彼らに連れられてエレベーターを降り、黒龍のオフィスの入口に着くと、中を覗き込んでみた。果たして、オフィスの中には確かに大勢の人がいた。この人たち、みんな彼を待っていたのだろうか?

「報告します。老李をお連れしました」警備隊長は中に向かって頭を下げ、柔和な態度で言った。

「入りなさい...