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213話

「な、なぜそんなことを?」老李は呆然となった。

「一目見れば分かる。五人も殺したような男の目じゃない。修行を積んだ達人の目つきでもない……はは」

六指が小声で笑い始めた。直感が告げていた、この六指は只者ではないと。

「図星か?」

六指が老李に尋ねると、老李は冷ややかに問い返した。「まるで達人や殺し屋を見てきたような言い方だな」

「俺はどんな人間も見てきた」六指はそう言い残すと作業場を後にし、老李に不気味な笑みを向けた。

クソッ、この六指は一体何者なんだ?何の罪で捕まったんだ?老李は思わず彼に対する好奇心が湧いてきた。

初日の夜、老李は夜十時まで作業をこなし、監房に戻るとほとんど横...