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156話

夜の八時頃、李さんは佳麗海鮮大酒楼で初めて岳大軍という所長と対面した。

三十代前半くらいで、精悍で落ち着いた印象。四角い顔立ちに鋭い眼光、短く刈り上げた髪、日に焼けた浅黒い肌色。強烈な男らしさを漂わせていた。以前は軍隊にいたらしく、見るからに筋の通った人物だった。

私服姿で、黒い革ジャンに黒い布のズボン、スニーカーを履き、小さな書類カバンを手にしていた。彼らに向かって笑顔で頷き、なかなか礼儀正しい対応だった。

一目見ただけで、ずる賢く虎の威を借る狐のような輩とは違うことがわかった。彼からは自然と正義感と気骨が漂い、非常に信頼できる人物だと感じさせた。

しかし初対面でありながら、李さんは...