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86話

「行かないって?そんなことが可能だと思う?今回の皇家寺院行きは、あのお偉いさんの奥方が一手に仕組んだものよ。彼女は私が一人で出かけるのを心待ちにしてるんだから、手を下すつもりなのは明らかじゃない。私が行かないなんて許すと思う?」蘇素は腕の傷を見つめた。幸い、それほど深くはなかった。彼女の口元は硬く引き締まり、長い沈黙の後にようやく冷笑を浮かべた。

墨蘭は俯いたまま、何か決意したかのようだった。蘇素が再び口を開かないのを見て、やっと顔を上げ、真剣な眼差しで見つめた。「お嬢様、今回は私も連れていってください。墨蘭はお嬢様から離れたくありません」

蘇素は一瞬きょとんとし、しばらくして墨蘭の言葉の...