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62話

素蘇は自分が尾行されていることに気づいていなかった。宮殿を出ると、心の重荷が少し軽くなったように感じたが、心に秘密を抱えていたため、宮殿を出た時から数人の影に見張られていることには気づかなかった。

背後から冷気が襲いかかり、素蘇の鼓動が急に早くなった。素蘇は咄嗟に身体をひねり、背後から繰り出された剣の影をかろうじて避けたものの、前髪の数本が切り落とされた。

素蘇の眼差しが沈み、「何者だ?」と問いかけた。袖の下で両手を強く握りしめ、全身が警戒態勢に入っていた。

「お前を殺しに来た者だ」目の前の黒装束の人物が言い終わるや否や、その背後に数人の黒衣の人影が現れた。素蘇は悟られないように一歩後退...