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50話

慕清珏との出会いは蘇素が予想もしていなかったことだった。向こうから歩いてくる慕清珏と彼の新婚の皇子妃を見て、蘇素は思わず身を隠そうとしたが、もはや手遅れだった。

「二皇子様、二皇子妃様にお目にかかります」先頭の宦官が慕清珏に向かって跪き、声を上げた。

「立ちなさい」今日の慕清珏の衣装は皇子妃のものと同じ色調で、二人が互いを引き立て合い、実に相応しい様子だった。

蘇素は慕清珏に向かって軽く頷いた。「二皇子様、ご結婚おめでとうございます」

慕清珏は蘇素を見つめ、その眼差しは複雑で測り知れなかった。「阿素」という言葉が思わず口から漏れた。その言葉が落ちるや否や、周囲の者たちは顔色を変えた。慕...