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44話

林不凡は幽霊でも見たかのように鳳沧瀾を見つめていた。目の前にいるのは国師様ではないか。国師の顔に浮かぶ「近寄るな」という表情を見て、林不凡は思わず両腕をさすった。寒い……

鳳沧瀾は終始、林不凡に一瞥もくれず、黒い瞳には苛立ちだけが宿り、身から発する冷気がさらに濃くなった。

「おいおい、やるじゃないか。音もなく国師様を連れ戻すなんて」鳳沧瀾の強烈な存在感を感じ取り、林不凡は賢明にも離れた。にやにや笑いながら蘇素に近づき、彼女の耳元でささやいた。

蘇素は林不凡を一瞥し、鳳沧瀾を見て頭を抱えるような思いになった。すぐに額をさすりながら考えた。もしこいつがこの方が昨夜もここに泊まったことを知った...