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117話

結界が切り裂かれた瞬間、鳳滄瀾は冷たい眼差しを向け「彼女を頼む!」と言い残して姿を消した。慕韶煊は慌てて言葉を飲み込むと、すぐに後を追った。この御方に何かあれば、帝君に申し開きが立たない。

赤瀾と幽蘭は顔を見合わせ、蘇素を見つめた。二人の目には同じ不安の色が浮かんでいた。

婳城は蒼瀾大陸の外縁の町だ。この地の者たちは霊力こそ高くないものの、数が多い。鳳滄瀾は幼い頃からほとんど蒼瀾大陸で暮らしていなかったので、外縁の民が少尊主である彼を知らないのも無理はない。ただ、自ら死に急ぐ者がいないとは限らない。

鳳滄瀾は幼い頃から霊力を鍛えてきた。これらの輩は彼の目にはまだ物の数で...