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38話

殷文康の助けを借りて、潘桂花はなんとか八時半の始業時間に間に合って会社に入ることができた。

湯蓉蓉はそこで初めて、会社の幹部の社員証には訪問者カードが紐付けられていて、直接人を連れて入ることができるということを知った。

十一階に着くと、湯蓉蓉は殷文康にお礼を言った後、まだ殷文康にあれこれと話しかけている潘桂花の腕をぐっと掴み、左側の人事部オフィスへと引っ張っていった。

潘桂花は不満そうな顔で、ぶつぶつと湯蓉蓉が自分の好機を台無しにしたと文句を言っていた。

湯蓉蓉は少し呆れて、本当に潘桂花に聞きたかった。

「お姉さん、さっき殷文康が私の後ろに隠れていたの、マジで気づかなかったの?」

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