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914話

「老人は生涯をかけて見つけられなかったものを、今、私が見つけてしまった。けれど、使う勇気はない。七彩七夜花は私にはとても扱えるものではない」

家全体が燃え上がっているのを見て、私たちは車に乗って立ち去った。

去り際に気づかなかったことがある。空中で一枚の花びらがふわふわと漂い、そっと私の後ろの服に舞い降りたのだ。そして静かに私の服の中に潜り込んでいった。この一部始終を、私はまったく知らずにいた。

病院に着くと、私たちはすぐに病室へ向かった。この時、彼らはすでに金銀花を煎じた薬湯を患者に飲ませていた。

患者はもう震えてはいなかったが、体中の黒い部分はまったく引いていなかった。

私は眉を...