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599話

私はそう考えて、これから降りた後に録音ファイルを杜月清に渡し、そのままお金をもらって立ち去ろうと決めた。もう杜家の問題には関わりたくない。これ以上関わり続けたら、自分に何か不測の事態が起きるかもしれないのだから。

皆が契約書にサインしようとした瞬間、長男の杜天鳴が突然「ちょっと待って!」と声を上げた。周囲が困惑する中、王弁護士も首を傾げる。「どうされましたか?杜天鳴さん、何かご質問でも?」

杜天鳴は王弁護士に一瞥をくれた後、すぐに杜天全の方へ視線を移し、眉を寄せて問いかけた。「次郎、お前、本当にこれでいいのか?」彼の言葉は遠回しながらも、その意図は明らかだった。彼も次男が遺言書に手を加えた...