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589話

「私はもう人生の荒波を乗り越えてきた者だ。だからこの子の目を見ただけで分かるんだよ。嘘をつけない娘だってね。目は心の窓というだろう。小梅ちゃんのあの純真無垢な瞳から、私は彼女の誠実さを見て取ったんだ」

「ええ、あなたも知らないんですね。私はちょっと不思議に思ってたんです。こんな立派なお屋敷で、どうして突然霊堂を設けたのか。それにあんな真っ赤な棺桶なんて、見ていて気味が悪いですよ」小梅は周囲を見回し、玄関がきちんと閉まっているのを確認してから言った。「本当にそうですよね。それに、あの棺桶はご主人様のために用意されたものだって噂を聞いたんです」

杜家のご主人のため?私は一瞬戸惑ったが、すぐに納...