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407話

「自分にそういう考えがなかったとは言い切れないだろうが、彼はそれを口に出すことはない。」

樊紅玉を連れて二階に上がり、部屋のドアを開けようとした時、ちょうど廊下で中年の男性も自分の部屋に入ろうとしていた。

ルームカードを取り出してドアを開けようとしたその瞬間、樊紅玉が突然体を傾け、地面に倒れ込んでしまった。彼女を支えようとして、手に持っていたルームカードも床に落としてしまう。

その男性が親切にも近づいてきて、ドアを開けてくれた。私は内心少し気まずさを感じていたが、相手は余計な詮索をするつもりもなく、ドアを開けると自分の部屋へ戻っていった。

樊紅玉を部屋に連れ込むと、彼女は「暑い」と呟きな...