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195話

急流の中で誰かに腰をぎゅっと抱きしめられていては、どんなに泳ぎが得意でも無駄だ。張遠は何度か身をもがいたが、轟音がどんどん大きくなるのを聞いて、前方を一瞥した。そこには水煙が立ち込め、波の音が天を揺るがし、明らかに壮大な大滝が迫っていた。

「もういい、運命に身を任せるしかないか」張遠は抵抗を諦め、力なく溜息をついた。彼は黙って目を閉じ、流れに身を委ね、滝へと押し流されていった。

「滝だ、滝!前に滝がある!」

雪芙の大きな瞳には絶望の色が満ちていた。この時になって、やっと彼女は張遠の腰から手を放そうとした。

だが張遠が彼女をそう簡単に離してやるはずもない。死ぬならいっそ一緒に死んだ方がいい...