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1642話

その時、父も家から出てきた。

「金水、帰ってきたのに一言も言わないのか」と父が声を張り上げた。

「おっさん、大変なことよ!息子の目が見えるようになったの!」「何だって?」「息子が今、目が見えるのよ!」「え?」父は驚いて、すぐに私の目をじっと見つめた。

「父さん、僕の目が治ったんだ!」父もあまりの感動で動けなくなっていた。

そのまま、二人は荷物を家の中に運ぶのを手伝ってくれた。

「本当に仏様のご加護ね!」母は涙をぬぐいながら言った。「明日にでも、絶対にお寺にお参りに行くわ!」やはり田舎の人間は少し迷信深い。

しばらく感動した後、母が「あれ?」と声を上げた。「金水、梅子はどうしたの?」...