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1175話

「付き合い方はよく分からないけど、僕、君のことが好きになったよ」

「くすっ、それって『一目ぼれ』ってやつよ」梅子は笑いながら言った。「あ、違う違う、あなた見えないんだから『一目ぼれ』じゃないわね」

「じゃあ、『一聴ぼれ』かな?」僕も笑った。

「そうそう、一聴ぼれ!」梅子はより一層嬉しそうに笑った。

「梅子、君の声、本当に綺麗だね!笑っても泣いても、どれも素敵だし、それに君の匂いも良いし、それに触れるとね——」僕は言い切らずに、空笑いを二つほど漏らした。

「金水、もう、いやらしい!」

「へへ、目が見えないから、聴いたり嗅いだり触ったりして判断するしかないんだよ!みんなが間違いなく言ってた、君は本...