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16話

「しまった!」

虎の口に飛び込んだ羊だ!

私は平静を装い、作り笑いを浮かべながら言った。「また会いましたね、森兄貴」

森兄貴は手で髪をかき上げ、唇を舐めながら私を見つめた。その眼差しは刃物のようだった。「いつか必ずお前との勘定を清算しようと思ってたところだ。自分から門前まで来てくれるとはな、手間が省けたよ。お前、ただのしがないガードマンだったのか。あの日はよく威張ってたな!どうする?裏に行って、ちょっと話し合おうか?」

「そ...それは必要ないでしょう、森兄貴?」と私は言った。

森兄貴は二人の部下をちらりと見て、手を振りながら言った。「こいつを裏庭に連れていけ!大門も小門も、全部閉め...