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109話

これは精巧な金の指輪だった。

見た目はずっしりとして、かなりのグラム数がありそうだ。指輪の上部にはハート型の模様が彫られていて、おそらく盛凌はこのハート型の角で足の裏を引っかかれたのだろう。

「災い転じて福となすだね!」私はその指輪を手に取った。買えるような代物ではないが、その作りと質感から、この指輪がかなり高価なものだと判断できた。手に乗せると、ずっしりとした重みがある。

盛凌は私を白い目で見て言った。「怪我なんかしないで済むなら、こんな指輪いらないわ。誰がこんなに不注意なのよ、結婚指輪を水の中に落とすなんて。持ち主に返さないと。出所不明のものは、もらっちゃダメよ」

私は反問した。「で...