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108話

私はあまりにも自己陶酔していたせいで、背後に回り込んだ人の気配にまったく気づかなかった。

元軍人として訓練を受けた身でありながら、基本的な警戒心すら失ってしまうなんて、情けない話だ。

クスクスという笑い声が、これが冗談だったことを証明していた。

腰に感じていた何かの感触はすぐに消え、振り返ると、盛凌が両手を合わせてピストルの形を作り、満面の笑みで私を見つめていた。

「何を考えてたの?そんなに夢中になって。あたし、ずっと後ろに立ってたのに、全然気づかなかったじゃない。軍隊にいた時もそんなに油断してたの?本当に敵が近づいてきたら、今日は命がなかったわよ」盛凌は大げさ...