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692話

「しかし、お嬢さん」とチンピラは譲らなかった。

塀の中にいた林浩は、このチンピラの対応を聞いて、なかなか良い印象を持った。

「いいよ、皆仲間だ。彼女を通してやれ」

林浩はそう言いながら、外にいるチンピラに目をやった。このチンピラは重用できそうだ。

程程は林浩の声を聞くと、小さな唇を尖らせた。「つまんない。もう少しからかわせてよ〜」彼女はそう言いながら、林浩の方へ歩いてきた。その長い脚と細いウエストを楽しげに揺らしながら。周りの数人のチンピラたちは彼女を見たいと思いつつも、ボスの女だ。見つめる勇気なんてあるはずがない。

「あら、この方は?」程程は林浩の隣に立っている林曦然を見て、少し驚...