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619話

「うん、婉児さんが中には誰もいないと言うなら、確かに誰もいないんでしょう。ただ、中に誰もいないのであれば、私が確認させていただいても婉児さんは構わないでしょう？私たちが探している人物は本当に重要な案件なんですよ」

刀痕の男は狂犬親分から聞いた話を思い出していた。葉長風が龍頭の親分の確かな証拠を握っているため、今回蒋晴を捕まえようとしているのは、その証拠と交換するためだった。そうしなければこちらの龍頭が倒れれば、狂犬親分はその後ろ盾を失い、すぐに三爺と七爺に飲み込まれてしまうだろう。

「なに？私を信じていないというの？」上官婉児は眉を吊り上げた。父と祖父のおかげで、幼い頃から今まで誰一人とし...