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854話

個室の中で、尚青志はため息をつき、蘇北辰と一緒に立ち上がった。

蘇北辰は彼が帰りたがっていることを理解し、引き止めようとはしなかった。

尚青志は嘆いて言った。「北辰、本当にごめん。こんなことになるとは思わなかった。俺が奢るよ、気にしないでくれ」

「古い友達なのに、そんなこと言うなよ。別に彼に頼んで何かしてもらおうとしたわけじゃないんだから」

蘇北辰は軽く笑い、尚青志と一緒に部屋を出ようとした。

その時、個室のドアが開き、中年の男性が入ってきた。

この中年男性に蘇北辰は見覚えがあったが、誰だか思い出せなかったので、顔を合わせただけで通り過ぎた。

「郁社長、いらっ...