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56話

「ハゲ兄貴」は近辺で相当な勢力を持っていて、ほとんど誰も彼に逆らう者はいなかった。だが、若者一人に面目を潰されるとは思いもよらず、顔色が一気に曇った。

「ちっ、てめぇ何様だ?毛も揃ってねぇガキが、俺の事に口出しすんじゃねぇ!」

ハゲ兄貴の罵声に、蘇北辰は眉をしかめ、大股で男の前に立った。

彼はハゲ兄貴をじっと見つめ、冷たい声で言った。「お前がハゲ兄貴というのか。孤児だったのか?どうしてそんなに躾がなっていない?」

この言葉に、ハゲ兄貴は即座に逆鱗に触れ、声を張り上げて後ろの仲間に叫んだ。「何をもたもたしてやがる!さっさとやっちまえ!」

「くそっ、ハゲ兄貴に喧嘩を売るとは、本当に死にた...