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10話

「張院長、大変です!唐少に何かあったんです!」

張院長が椅子に腰を下ろしたところで、劉医師が慌てた様子で駆け込んできた。

唐少の名を聞いた張院長は顔色を失い、急いで病室の方へ走り出した。

唐家といえば、まぎれもない名門で、燕北市では絶大な影響力を持っている。もし唐少が自分の病院で何かあれば、その結果は想像を絶するものだった。

「秦老、唐少の状態はどうなんですか?」張院長は病室に入るなり大声で尋ねた。

秦老は唐銘の診察中で、張院長が来たのを見ると、無力さを滲ませて頭を振った。

その時、唐銘は咳が止まらず、口角から鮮血が滲み出ていた。状況は楽観できるものではなかった。

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