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212話

「あ、すみません、ちょっと我慢できなくて……」

張航は少し恥ずかしそうに手を引っ込めたが、手にはかすかに唐暁怡の身につけている香りと同じ、心地よい香りが残っているのを感じた。

実はこの綿菓子はそれほど美味しいわけではなく、張航が商店システムの甘麦粉という甘味増強パウダーを試しただけだった。甘さの中に透明感があり、それが唐暁怡が思わず声に出して褒めた理由だった。

「くすくす……」

張航を驚かせたのは、唐暁怡がただ微笑むだけで何も言わず、視線は手に持った綿菓子に向けられたままだったことだ。

気まずさを感じた張航は後頭部を掻きながら、おずおずと尋ねた。「唐暁怡、じゃあ、君は先に配信して、僕は先...