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169話

「皇様の言葉は勅命とまではいかないが、安心の保証だ。彼の約束があれば、文虎も思う存分にこの分際をわきまえない若造をしばくことができる」

「はぁ、あの若造はもう終わりだな。文虎は昔ヤクザだったんだぜ。手を出すなら殺し技だけだ。道の兄貴たちの話じゃ、あいつはまだ何件か未解決の事件を背負ってるらしいぜ」まだ試合も始まっていないのに、少し離れた場所で部下の一人が小声で噂し合っていた。皇様はそれを気にする様子もなかった。そもそも彼らを連れてきたのは、見識を広めさせるためでもあったのだ。

「いや、そうとも限らないぜ。さっきの小黄たちがどうなったか見ただろ?あの若造の拳と足、力も速さも半端じゃないぜ」隣...