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160話

「青草山倉庫」は平蕪市の比較的大きな倉庫であり、かつて平蕪市のGDPを牽引した産業の後背地として、全盛期には昼夜を問わず人や車で賑わっていた。しかし、その企業が工場を移転させて以来、倉庫は放置されたままとなり、数年の間に雑草が生い茂り、社会の不良分子が集まる場所となってしまった。

ここに常駐している浮浪者の話によると、たった一ヶ月の間に少なくとも三回の流血事件を目撃したという。個人的な恨みを晴らすものもあれば、ギャングの抗争もあった。とにかくこの場所に警察が来ることはなく、「青草山倉庫」と言えば、裏社会の人間が口にする場所であった。人が死んでいない限り、あるいは死体の引き取り手がない場合でな...