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82話

「方鋭、お前は初めて警察署に来たんだろう?なのにどうして常習犯みたいに見えるんだろうね。答えがすらすら出てくるし、まるで用意してたみたいじゃない」女性警官の口調はやや穏やかになったものの、冷たさを帯びており、方鋭には彼女の真意が掴めなかった。

「はい、初めてです。しかも、なぜここに連れてこられたのか、まったく分からないんですが」彼女から漂う微かな香りと、口から吐き出される温かい息が顔に当たり、芳香が鼻をくすぐる。方鋭の頭はもともとぼんやりしていたが、今やすっかり心まで溶けそうだった。

「そう?」

女性警官が再び前のめりになり、方鋭の目をじっと見つめた。まばたきひとつしない。

鼻腔にまた...