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599話

静かな夜、薄暗い街灯の下、方鋭はあの痩せた小柄な背中が遠ざかっていくのを見つめていた。街灯の下で引き伸ばされた長い影。胸の中に突然、何かが抜け落ちたような空虚感が広がり、少し心が乱れた。方鋭は書道の作品を手元にしまった。

街灯の下にしゃがみ込み、年代物と思われる二枚の古銭を取り出す。方鋭は両手を交差させて軽く握り、そっと地面に投げた……

去る前に、尹天祚は一枚のメモを残していった。そこには電話番号と、入り組んだ発音しにくい住所が記されていた。尹天祚によれば、その場所には奇妙な人物がいて、石を持っていけば、欠けた大夏龍雀を修復できるという。ただし変わり者だから、自分で上手く対応するように、と...