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592話

多分、自分自身からは蒋凝を探し出し、心の中の抑圧を発散させる場所がなかったところから始まり、内心の奥底で何かが醸成されていたのかもしれない。蒋千流や白凡たちを見て小さな感情が爆発したのも、実は小金のために怒りを表したわけではなく、雲庭がラクダの背中を折る最後の一本の藁となり、方鋭はようやく心の中に抑え込んでいたものを一気に解放したのだった。

空になったグラスを見つめながら、方鋭は口元を引き締めて軽く笑い、含みのある口調で言った。「ありがとう」

「ん?」駱天鈺は不思議そうに首を傾げた。

「何でもない。ただ純粋にある人に感謝しているだけだ。恐らく俺はもともと妥協できるタイプの人間じゃない。大...