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591話

その同時に、李妙然はさらに気づいたのだ。過去20年間、それどころか方鋭が婚約パーティーで自分を奪った時でさえ感じたことのない感情が、今、心の奥底からじわじわと湧き上がってきていた。胸の内に熱い情熱と、尽きることのない渇望が生まれていた。目の前に立つこの凛とした背中の持ち主の過去と生い立ちを知りたいという渇望が。

この男は、あまりにも多くのものを背負っていた。

おそらくその物語は悲しく、痛みに満ちたものだろう。だが李妙然は信じていた。今の方鋭が関わることで、悲しみや痛みはもはや存在せず、代わりに雄々しさと偉大さ、そして美しさ—男性特有の比類なき美しさが生まれるのだと。

駱天鈺もまた方鋭の感...