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572話

「砂丘、目の前の女を見つめながら、方鋭は興味深げに言った。「お前、今日はどこか変だな」

「どこが変なの?」目の前の服部桜葉は赤い唇を軽く噛み、艶めかしく舌なめずりをして、方鋭に向かって目を瞬かせた。そして柔らかな身体を彼に寄せながら、囁くように言った。「神石を手に入れて、徳川正一も殺したわ……」

「そこまでする必要はなかったのに」方鋭は苦笑した。

「必要よ。私はもうあなたの女なんだから、服部の族長として祖訓を厳守しなければならないの。これは私の務めよ。扶桑に戻ったら、必ずあなたのために情報を集めるわ。扶桑の氏族の動きがあれば、真っ先にあなたに伝えるから」服部桜葉は方鋭の胸に身を寄せ、細い指で彼...