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518話

如臂使指。

これこそが服部桜葉の実感だった。己の妖刀・村正が何者かによって無形に抑え込まれているかのようだ。かつては天下無双の鋭さと堅牢さを誇った名刀が、まるで力を発揮できない。この神業の刃が自分の手に握られ名参と対峙すると、まるで徳川正一が鬼刀千葉を手に村正と向かい合うかのような劣勢に立たされる。

抑圧、露骨な抑圧だ。

カン!

村正と名参が再び交わる。軍刺の手首が震え、顔は紅潮し、明らかに興奮している。口元には昂揚の笑みが浮かんでいる。名参を手にしてから初めての心地よい交戦だ。生死の境を行き来するあの感覚は、もう長らく味わっていなかった。

「服部桜葉、お前は本当に強い。俺の判断では、お前の敵...