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496話

鉄の扉が開き、方鋭が入ってきた。淡々とした声で「いくら?」と言った。

岑憶容は呆然として、方鋭を見つめた。彼女の涙で潤んだ目は方鋭の鋭い視線を避け、言葉が出なかった。彼女には方鋭に話しかける顔も勇気もなかった。なぜなら、岑覇新は方鋭の1億を受け取っていたのに、今は…。

「あなたは?」張所長は眉をひそめて方鋭を見た。

「彼女の彼氏だ。いくら費用がかかるのか言ってくれ、俺が払う」方鋭は微笑んだ。

「だめ、だめよ、方鋭!」岑憶容は急に焦った様子で言った。

「なぜだめなんだ?」方鋭は軽く笑った。

「お父さんが…あなたの1億を受け取ったのに、今は…私、これ...