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411話

金三は悩んでいた。十数年前、并州に金稼ぎにきた葉という男と知り合ったのだ。当時は大した肩書きなど持っていなかった。ただの死を恐れぬ手下、いわゆる雑魚だった。金三はそれ以上に酷かった。路頭に迷い、家にも帰れない小さなチンピラで、保護費を集めては食いつなぎ、学生を騙す屑同然だった。二人は気が合い一目惚れ、行き来するうちに義兄弟の契りを交わした。

この葉という男は奇妙だった。マムシのような人間だ。二枚舌という表現は彼には当てはまらないかもしれないが、マムシやニシキヘビのような奇妙な生き物との共通点があることは間違いなかった。

金三は頭が良くなかったが、義理堅い男だった。もっとも、今の金三を頭が悪...