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404話

「君も知らないことがあるのか?」沈君越が意味ありげに微笑んだ。

「人間、聖人ではないからな」

「お前は多才多芸の吴慈じゃないか。かつても今も、京城の界隈では『芸術的センスに溢れた』才女として認められている。幼い頃からダンスと演劇が得意で、さらにはバイオリンも見事に弾きこなす。国防大学で研究生をしていた時も、学院の大規模な文化イベントを何度も司会していたよな。音楽会を聴くのが好きで、美術展も見に行く。そういえば、文字の絵巻物にも詳しいんだったな。もちろん、一番好きなのは旅行だろう?」沈君越は吴慈のことを隅々まで把握しているようだった。

「私を口説きたいの?」吴慈は無表情で酒を一口すすった。

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