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368話

「え?」秦如心は呆然とした。

方鋭は黙ったまま、部屋の中で使えそうな道具を素早く探し回った。正面突破など到底不可能だ。方鋭はそこまで馬鹿ではない。しばらくして目が輝き、秦如心の方を振り向いて笑った。「一階からは逃げられないな。お前の兄貴の大勢の手下が取り囲んでいるだけじゃなく、あの記者たちだけでも避けられない」

「じゃあどうすればいいの?」秦如心は焦りに焦り、お嬢様気質がむくむくと顔を出してきた。

「正面玄関には人がいる。階段にも確実に張り込んでいるだろうし、エレベーターなんて考えるまでもない。要するに、堂々と出ていける道はほぼ全て封鎖されている。だから一つしか道がない」そう言いながら、方...