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316話

行ったり来たりと、周囲の人々は方鋭の手のひらが往復を繰り返すのを見つめていた。しかし彼は結局脈を取ることができず、皆は焦っていた。診療恐怖症という言葉の意味は分からなくとも、方鋭の今の状態が非常に悪いことは、目の利く人間なら誰にでも分かった。

「方兄、私がやろう!」穆華庭が方鋭の腕をつかんだ。

方鋭は顔を向け、軽く笑った。「ありがとう」

穆華庭は眉をひそめた。「何を恐れているんだ?お前は北海市の若き神医だろう。誰もが認める、どんな病気も解決できる方鋭じゃないか。何を怖がっている?」

「怖がってなどいない」方鋭は頭を下げた。

穆華庭は首を振り、そっと鐘紫芸の脈を取った。表情が次々と変化...