3話
これは夢か？
それとも怒りのあまり仰向けに倒れて死んでしまったのか？
その時、彼の目の前は真っ白な空間で、遠くの虚空に一つの曖昧な影が揺らめいていた。そして、空霊な声が四方八方から響き渡り、浩然の正気を帯びて方鋭の脳裏に満ちていく。
「汝、吾が道をもって、天下の衆生を救うべし！」
なんだって？
方鋭は呆然としたが、それもほんの一瞬のこと。次の瞬間、頭に激痛が走り、歯を食いしばって頭を抱えながら転げ回った。あの空霊で壮大な声はさらに続いた。
「吾は漢の末に生まれ、一世を医術に捧げ、万の命を救った。だが悲しいかな、嘆かわしいかな、吾が子孫はここに途絶えてしまった。惜しいことよ、痛ましいことよ……」
「まあよい、吾はすでに羽化し、この俗世の事に関わるべきではない。小僧、お前は吾の意志を継ぎ、この広大なる衆生を病苦から救い、病の苦しみから解放する気はあるか？」
方鋭は頭の痛みに転げ回り、言葉を発することができなかった。どう応えればいいのか？ただ心を引き裂くような叫び声だけが、この白い空間に響き渡った。
漢の末に生まれた？
しかも羽化だと？お前の母ちゃんが、お前は仙人になったというのか。自分は本当に死んだのか？医学を学び始めたばかりで誰も救えていないのに天界に来れるのか？
「大道至儒、妄念陰邪尽く虚無なり。破妄の眼、授く！」
「覚えよ、儒道の本質は気を養い神を養うこと。昊天の元気を気海に凝らし、言を立て、功を立て、徳を立てよ。昊天養気の訣、授く！」
「浩然たる天地、正気長く存す。浩気、剣となる。六本剣陣、三達剣陣、授く！」
「……」
「よろしい……」長い時間が経ち、あの空霊の声はため息とともに一連の残響を残し、姿を消した。
「あっ——！」
反射的に体を起こした方鋭は、頭と体の激変を気にする暇もなく、一気に飛び起きた。そして目を見開いた。テーブルの上の古書が消えていた。
消えた？
誰かのいたずらか？
頭がぼんやりした方鋭は呆然と座り、脳内に大海のように広がる情報を感じながら、これが何かのいたずらではなく、自分が何か信じられない奇遇に遭ったことを理解した。
十分間ほど信じられない思いでいたが、新時代の若者である方鋭はついに現実を受け入れ、少しずつ脳内の知識を消化していった。二時間後、目を開けると光が走り、方鋭は思わず目を丸くした。
脳内の情報は恐ろしいほど膨大だった。上古の医術、処方、鍼灸のすべてが詰まっていた。祖父が語っていたことを思い出す。先祖は東漢末期の大儒であり、その名は南北に轟き、民衆はその噂を聞くだけで平伏し、感謝の涙を流したという。それは彼が四方を巡り民の苦しみを解消しただけでなく、一身の浩然正気で一方の土地の平安を守ったからだった。
そう考えると、これは母方の先祖…医聖、儒聖からの伝承を受けたということか？
信じられるのだろうか？
実のところ、方鋭は内心ではあまり信じたくなかった。こういったものはすべて虚しいもので、自分の実力こそが最も頼りになると思っていた……
いや、もちろんこれは嘘だ。
方鋭は信じざるを得なかったし、この現実を喜びに震えながら受け入れた。
彼は幼い頃から祖父から中医学や薬草について少し学んでおり、基本的なことはよく理解していた。そして脳内にあるものは、この数千年の中医学のすべてを結集したもの、さらには儒道と医術の融合だった。
方鋭はこの二つがどう結びつくのか理解できなかったが。
口元を歪め、方鋭は大声で笑いたかったが、心の中では苦さが残った。先祖の伝承を受け継いだが、自分は本当にそれを発展させることができるのだろうか？
もし成功しなければ、将来地獄でどんな目に遭うか分からない！
余計なことは考えず、方鋭は足を組んで座り、脳内の方法に従って呼吸し、気を養い、この天地の浩然正気を丹田の気海に凝らし始めた。
時間を忘れ、どれほど経ったか分からないが、方鋭は突然目を開いた。一股の磅礴たる正気が顔に迫り、目はさらに明るく輝いた。まるで生まれ変わったような感覚で、拳を握ると、一撃で牛を倒せるような感覚に方鋭は内心喜んだ。
時計を見ると七時。一晩眠らなかったにもかかわらず、方鋭は爽快感を覚え、睡眠よりも効果的だった。身支度を整えた後、寮を出て、いわゆる金華コミュニティ保健サービスセンターを探しに行った。
三十分後、数ブロック先からでも見える北海市第二人民病院の高くそびえ立つ建物を見上げ、そして振り返って自分の背後にある金華コミュニティ病院を見て、完全に言葉を失った。
これが格差というものか！
課金プレイヤーと無課金プレイヤーの差だ！
「どけ！どけやがれ！」
方鋭は派手な刺青をした二人の若者に乱暴に押しのけられ、目を見開いて彼らが全身脱力し血まみれの若者を担いで病院に駆け込むのを見た。少し考えた後、彼も中に押し入った。
「早く、江少を助けろ！警告しておくぞ、今日江少に何かあったら、お前らの病院の全員を道連れにしてやる！」
病院のスタッフは唖然とした。カルテを持った痩せた若い医師が口を尖らせ、横目で言った。「何様のつもりだ。治療を受けたいなら黙れ。二十分も車で走れば第二人民病院だぞ。威張りたいならそこへ行け」
「クソッ！」
刺青の若者が勢いよく前に出て、軽々と痩せた医師を持ち上げ、目を血走らせて言った。「そんな時間があれば、とっくに連れて行ってるわ！余計な口を聞くな、治せなかったら悲惨な死に方をすることになるぞ、約束する！」
痩せた医師は顔色が青ざめ、呼吸が荒くなった。
「どうしたんだ？こんなに重傷なのになぜ病院に行かないんだ！急げ、急げ、彼を横にして寝かせろ！」白衣を着た男が駆け寄り、検査した後、顔色が暗くなった。
医師や看護師たちが慌ただしく検査した後、全員が沈痛な面持ちになった。
「張医師、右肋骨の複数箇所で骨折、骨片が肺を貫通して気胸を形成しています……右肺に少量の液体貯留があります」
張医師は呆然とした。冗談じゃない。ここはコミュニティ保健センターで、医療機器がこのような高難度の手術には全く足りない。恐怖と苛立ちを感じながら叫んだ。「何本だ！何本折れているか知りたい！」
「張医師、四本です……頭部に重傷があり、頭蓋内出血の疑いがあります」
張医師は目の前が真っ暗になり、気を失いそうになった。こんな重症患者をコミュニティ病院に送るなんて、正気の沙汰ではない！
「骨折が肺葉を貫通し、気胸、頭蓋内出血…二十分以内に手術が必要ですが…今すぐ手術しても成功率は非常に低いでしょう！」医師らしき中年女性が歯を食いしばりながら困難そうに答えた。
「たとえ手術が成功しても、患者は植物状態になる可能性があります……」
二人の若者は顔が強張り、目が血走り、病院のスタッフに向かって心を引き裂くような怒号を浴びせた。「クソッ！治療しろよ、命を救えよ！江少に何かあったら、お前らの家族全員を道連れにしてやる！」
明らかに、この二人の若者は理性を失っていた。
張医師は目まいがした。
もしこの患者がコミュニティ病院で死んだら、自分の主治医の地位がどうなるかはさておき、この状況から見るに患者はバックグラウンドがありそうだ。自分の残りの人生が平穏に過ごせなくなるかもしれない。
「すみません、兄さん姉さんおじさんおばさん、ちょっと通してもらえませんか？見せてもらってもいいですか？」
方鋭はようやく群衆をかき分け、よろめきながら前に出た。