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206話

方鋭は彼と無駄話をする気はなかった。すぐに前に踏み出すと、美青年は邪な笑みを浮かべながら迎え撃った。攻撃は波のように次から次へと押し寄せ、美青年の動きは電光石火のごとく素早く、その掌が軽々と方鋭の肋骨に当たった。

一歩よろめいた後、方鋭は慌てて繰り出された相手の拳に絡みついていた。美青年は奇妙な感覚を覚えた。この相手が戦いの最中に徐々に強くなっているのだ。その感覚はより鮮明になり、方鋭の進歩の速さを物語っていた。

これこそが方鋭の目的だった。強すぎず弱すぎない相手を見つけて自分を鍛える。手加減する必要もなく、気遣う必要もない。常豹たちとの対戦とは違い、思う存分打ち合えるのだ。

方鋭は相手...